ポーランド大統領の事故死

 ポーランドのカチンスキ大統領夫婦以下ポーランドの政府高官が飛行機墜落事故で八十人以上も亡くなった。一国の要人の大半が亡くなるような惨事は国家存亡の危機である。
 この事故の報を聞いて、私は選手時代に八田一朗会長から耳にたこができるほど聞かされた訓辞を思い出す。飛行機の墜落はほとんどが助からない。であるから選手団は一つの飛行機に乗らず、出来るだけ分散するように、子供を残しての夫婦の旅は別々の飛行機で行くのが望ましい。万一の場合でも片親は残る。米国のプロスポーツ選手は必ず分散して旅行をする。将来君らが偉くなったときこの事を実行するようにと訓辞を受けたことを思い出す。
 海外でホテルに着くと荷物を部屋に置くと直ぐ集合がかかり、万一の避難場所、非難階段の確認が命じられた。私は七十歳になる今でもホテルに泊まる時は非常階段を確認してから部屋で落ち着く事にしている。
 八田会長からはずいぶん色んな事を教わった、テーブルマナーはもとよりホテルでの過ごし方、ホテルの廊下は外の道路と同じと心得ろ、決して下着などで歩かぬ事、靴は必ず夜の内に磨いておくこと、ワイシャツは夜洗いバスタオルで水分を取れば翌朝までには乾く、髭は必ず毎朝剃ること、部屋の外に出るときは必ずネクタイを締めること、マナーさえ身につければ何も心配する事はない、どんな相手でも胸を張って堂々と話せ、英語を覚えるためには糞するたびに単語一つ覚えろ、一年間糞をすればだいたいの英語はしゃべれるようになる。八田会長には本当に良い教育をして貰った。私は三十歳代の若造の頃からどんな場所に行っても、どんな偉い人の前でも普通に対応できる男になっていた。七十歳に成っても尚色々な役職を頂いている幸運は、若い頃の八田会長の教育のお陰と改めて感謝している。

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