ワンマン考

 ワンマンと聞いて私達年代が思い出すのは、敗戦日本を再建した吉田茂総理大臣である。
 レスリング協会においては、勿論八田一朗会長である。
 ワンマン八田会長は良くも悪くも強烈なリーダーシップで日本レスリングを世界一にした功労者である。全てを日本レスリングに捧げたワンマン会長である。八田会長の側に私は十年近くいたので、その人となりは良く理解しているつもりだ。
 人の評価というものはその立場立場で違う。私は八田会長は人の意見を良く聞く物わかりの良い会長だったと思っている。

 最近話題のワンマンは石川遼であり、タイガーウッズである。
 政界でも民主党の幹事長は超ワンマンだということだが、良い方向に日本を引っ張っていってくれるのなら話が早くて今の時代良いのではないかと私は思っている。
 
 今回はスポーツ界のワンマンの人気者について述べてみたい。
 近年低迷していた日本男子プロゴルフ界は18歳の石川遼の出現で、一気に尾崎、青木時代の黄金時代を上まわる人気を取り戻してしまった。石川遼のゴルフの力量、態度、頭の良さなどはマスコミで多く知らされているのでこの欄では触れないでおこう。
 だだ、全てのマスコミが石川遼を賞賛し追いかけ廻し、話題は石川遼だけ、一位も二位も誰だか分からないような報道を見ても、違和感や嫌悪感を感じないのは石川遼の人間的魅力が素晴らしいからだろう。
 しかしものずごいスターが出てきたものだ、百年に一度の不景気に、百年に一度のスターがが出てきたのだ。世の中悪いことも良いこともあるものだ。
 もう一人のワンマンは米国の英雄タイガーウッズだ。日本語に訳すと林虎三と誰かが言っていたけれど実に面白い。有名人には良くある女性問題だが今回はちょっと違う。
 全米のマスコミが敵に廻ったような報道で、些か可愛そうな気がする。緊張の連続のツアーを勝ち続けて行くには周りには分からないプレッシャーもあっただろう。日本人の奥さんなら逆にマスコミからかばったかも知れない。
 トーナメントを無期限欠場すると聞くが、これによって発生する各方面の受ける損失は百億ドルにも及ぶという。大スターの力とは全くすごいものだ。欠場によって損失を受ける企業はこの様な状態が起こることを想定していなかったのだろうか。もっと気晴らしを含めて、ウッズを守ってあげれば良かったのにと思ってしまう。所詮人間社会は一握りの指導者、一握りの英雄によって動いていて大衆は何時の世も烏合の衆なのかも知れない。
 
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