相撲の将来

 我々が少年であった昭和20年代、相撲を取った事のない少年はごく希であった。草原で空き地で、道路でさえ丸く土俵を書いて子供達は相撲を取ったものである。夏休みには何処の町内でも相撲大会が催され、子供も大人も夢中になって相撲に興じたものである。
 ところが最近の子供はほとんど相撲を取らない。レスリングをやっている子供達でさえ、相撲の仕切が分からないのだから参ってしまう。日本人にあれほど定着していた相撲が、見るだけのものになってしまった。
 原因は色々考えられるが、まず相撲選手の巨大化である。中学生で百キロを越えた選手が普通という状態は、少なくともスポーツとは言えない。かつては何処の学校にも土俵があり、体重など関係なく相撲を取っていたものである。少年達を対象にして相撲を普及するのなら、当然体重別にしなければならないだろう。
 プロの人材発掘が目的のような少年大会を開催しても相撲の普及にはならない。体重の重いものが絶対的に有利なスポーツなのだからこそ、体重についての制約、区分けが必要だと思う。今のままだと一部の大男だけのものになってしまう。
 相撲協会のみなさん、相撲はあなた達だけのものではないのですよ。先般の時津風部屋事件も、その特異な閉鎖性から起きうるべくして起こった事件だったかもしれない。日本の土から生まれた裸足、裸の格闘技である相撲を、子供達に普及することを相撲協会は考えて欲しいものです。

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