タイミングとスピードとバランス
 
 レスリングの競技としてのイメージはと問えば誰もがまずはパワーと言って間違いないであろう。鍛え抜かれた身体、鞠のような瞬発力はレスリングの象徴である。
 しかしレスリングはバランスとタイミングのスポーツでもあると私は思っている。勿論筋力と瞬発力はレスリングには不可欠であるということを前提に、技はどのようにして掛かるかと聞かれれば、タイミングとスピードと私は答える。また、受けのコツはと聞かれれば、バランスの取れた体重移動と答えるだろう。
 タックルが成功する瞬間は、ボクシングのパンチがヒットする瞬間、剣道の「めん」が決まる瞬間と同じタイミングだ。技が決まるに至るにはバランス「体捌き」とスピードが求められる。相手の予測を上回る体捌きとスピードは日頃の反復練習から身に付くといえよう。
 息をするが如く、歩くが如く、が技を決めるのが極意と言われている、つまり息することも歩くこともいちいち意識はしないだろうと言う意味である。組み合いの体重移動のバランスの中で流れるように技が決まっていた、これが技が決まる究極である。勿論勝負となればそんな生やさしいもの事実である。
 力でねじ伏せる、馬力で押しまくる、のもレスリングであるが根本の原理は全ての土台である。
 
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