1ラウンド2分間の戦い方 |
勝つ試合を組み立てるには1ラウンド2分間を4つに分けて30秒ずつの作戦を立てるのがよいだろう。 まず最初の30秒でポイント取ることが必勝の条件である。相手が右組だろうが左だろうが、しっかりとした攻撃のパターンを組み立てていれば、どんな相手でも必ずポイントは取れるはずである。試合で先取ポイントが取れないのは日頃の練習が悪いのである。その結果、しっかりとした攻撃目標も作戦もなく、何となく漫然とマットに上がるからである。現在のルールでは狙い澄ませたタックルの成功率は非常に高い。タックルとは成功してこそタックルなのである。 次の30秒は落ち着いて相手の反撃を想定し、先手先手と組み手を変え相手の攻撃をかわすレスリングをすべきである。この時間帯は場外を常に意識して無駄な危険を伴う攻撃はさけるべきだろう。次の30秒は再び攻撃の態勢を取り相手と激しく攻め合う姿勢を示し、一歩も引かないレスリングを展開する。しかし、ここでも肝心なことは攻撃で深追いをしないこと。飛び込むようなタックルは避け、タイミングとスピードで相手を崩してからタックルを仕掛けるのだ。 最後の30秒は勝負を決する大切な30秒である。油断せず、焦らず、諦めず、猛然と最後の30秒を戦い進めれば、あっという間に30秒は経過するだろう。たった30秒だが、最後の30秒はその時の状態により、長くも短くもなるものである。 運悪く相手にポイントを取られ、到底挽回不可能なラウンドの残り時間の過ごし方。 無理に反撃せず次のラウンドに備える。これも一つの考え方である。世界選手権でも良く取られる戦法である。試合の流れを変えるうえで有効だろう。 しかし、私の考えは違う。反撃がポイント的にも時間的に届かなくとも、力の限り反撃すべきであると考える。一見、挽回不能な無駄な反撃に思えるが、その反撃は充分に価値があると私は考える。まずこの反撃で次のラウンドの攻撃に勢いがつく。そして相手を疲れさせる。当然自分も疲れるが、攻められる側の疲れの方が遙かに大きい。そして激しい攻撃の中からポイント奪取は勿論、フォールのチャンスも生まれてくる。今の選手はほとんどフォールを忘れている。ポイントをリードしている選手はどうしても受け身となる。現行ルールはポイントをロスしている方に有利に出来ている。すべてを賭けて反撃するレスリングには常にフォールのチャンスがあるのだ。フォールしてしまえば、試合は終わり、2ラウンドも3ラウンドもないのである。 |
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