オリンピックの代表選考に思う

 先般の柔道のオリンピック最終予選で勝った選手が、国際試合に弱いという理由で何人か代表から漏れ物議をかもした。対照的に水泳は一発勝負、記録と順位ではっきりと代表を選び大変好評であった。
 我がレスリング協会はといえば、女子はオールスター四階級は出場を決めたが、男子がいまだオリンピック出場資格を取っていないクラスが10階級、選考だ代表だ等と言っている場合ではない。全てがオリンピック出場資格を取ってからであって、全く残念な現状である。

 オリンピック代表選考に関しては私も些か想い出がある。ローマオリンピックの選考会、フリー52キロ級決勝で私は松原選手に勝ったのだが、大学3年になったばかりの今泉は経験不足である、との理由で代表から漏れた。結果、松原選手オリンピックで銀メダルを獲得し、選考そのものに疑義は残らなかった。
 私自身も余り恨み辛みもなく、その後選手生活を続けたのである。しかし、今考えてみると酷い選考だったと思う。一途にオリンピックを目指した選手が艱難辛苦の末に勝ったのに代表になれなかったのである。

 今までこの様な不当な選考はあらゆる競技で行われた例がある。各競技団体はオリンピックに勝つことが最終目的であるから、選考会で勝った選手を必ずしも代表にするとは限らないと言う。しかし、本当にそうなのか。今勝った選手が今一番強いのだと私は思っている。全てを犠牲にして錬磨に明け暮れてきた選手が、掴んだ代表資格を協会の都合でそんな簡単に覆られては、スポーツそのものの本質が崩れてしまうのである。

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