ロンドまでに男子世界チャンピオンを

 日本の男子レスリングの世界チャンピオンは、1988年のソウルオリンピック小林孝至、佐藤満が最後である。20年間チャンピオンが出ず、ソウルのチャンピオン佐藤満が現在のナショナルコーチのヘッドである。
 佐藤満ヘッドは選手に言葉でよく説明し、新たな指導方法で全日本を引っ張っているように見える。そして、その成果が早くも今回の世界選手権に出たように思う。
 私は全日本の練習もつぶさに見たわけではないし、世界選手権にも行かなかった。しかし、数回見た佐藤満の指導は私にも分かりやすかったし、選手達の食い入るように聞いている目つきが印象的であった。
 最近の選手は冷めているというか、コーチの熱心な指導にも反応が薄く指導者も立ち往生している場面を度々見てきた。しかし、佐藤満の指導は一味違う。まず「嫌なら止めろ、お前達強くなりたくて来たんだろ」が前面に押し出されている。そして、高校生を相手にしたように、情熱を全面に出し手振り足ぶりで指導している。ここが佐藤満の今までと一番違ったところである。
 今までは全日本に選ばれた選手は出来上がっているから、選手の自主性を尊重しコーチは対戦相手の研究などサイドから支援する、というような風潮があった。ここに佐藤満は「お前達嫌なら止めろ」主義を打ち出し、逆に選手の心を掴んだとおもう。
 世界選手権を見たわけでない私が言うのは些か問題かもしれないが、世界戦での試合の模様、結果を聞いて、新たな指導の成果が出てきたな、と私は理解している。グレコ長谷川、鶴巻、フリー松永、湯本、米満、役者は揃った、久々に世界チャンピオンが誕生するのも遠くないだろう。
 
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