オリンピックの後の全日本選手権

 今年の全日本選手権は例年通り、12月23日の天皇誕生日に開催される。北京オリンピックを目指した選手は殆ど出場しないのでマスコミにとっては物足りない大会かもしれない。しかし我々関係者にとっては4年に1度の楽しみな大会である。何時のオリンピックの後の全日本大会もそうであったように、今回も又新たなチャンピオンが続々と出てくるだろう。一度全日本を制してた選手は全てに自信をつけ、一段と力と貫禄を増し練習も更に意欲的になるのである。ベテランが大半の選手権を制するレスリング界にあって、オリンピックの後の全日本選手権は、期待の新人が台頭し、次のオリンピックのスタート台に立つ意味ある大会なのである。
 ローマオリンピックの後に渡辺長武、、吉田義勝、佐々木竜雄、堀内岩雄がチャンピオンとなり、東京のオリンピックの後、宗村宗男、福田富昭、金子正明、中田茂雄等が世界チャンピオンとなり、メキシコの後、加藤喜代美、柳田英明、ミュンヘンの後高田裕司、伊達治一朗、そして富山、宮原、太田、佐藤、小林とぞくぞくとメダリストが続いたのである。
 私が見た最も印象的な新旧交代の対決は、ローマオリンピックから帰った佐藤多美治を中大後輩の渡辺長武が首投げで仕留めた対決であった。その後、渡辺は東京オリンピックで優勝して引退するまでの4年間、世界チャンピオンとして、一度も負けなかったのである。
 私も中大3年でローマオリンピック後の全日本選手権でチャンピオンになった一人である。
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