オリンピックが終わって

 オリンピックは一流選手なら誰もが目指す最大の目標である。晴れて代表となり最高の名誉であるメダルを獲得した選手は、何はともあれ一段落、次の選手生活については「ゆっくり考えたい」というのが従来のアマチュアの選手の本音であろう。
 しかしプロの選手達は違う。プロの選手はオリンピックは従来の試合の一貫として考えており、選手生活の節目などとは考えていない。プロ選手がオリンピックに出場するようになって選手のオリンピックに対する思いも様々になってきている。水泳の北島選手はプロであるが水泳場合、最高の評価を受けるのはオリンピックであるから、オリンピックに全ての標準を合わせる。しかし、野球やサッカーやテニスの選手はそれぞれのプロの試合で勝つことが、第一義であって中には頼まれたからオリンピックに出る等という選手さえいる。こうした選手を一纏めにして日本選手団とするのだから日本選手団役員も大変である。

 10月に行われる女子レスリングの世界選手権代表の伊調姉妹が代表を辞退した。理由はどうあれ、日本協会としては応援していただいているスポンサー報道各社にもお詫びしようもない。オリンピックの後、東京で世界大会があることは何年も前から分かっていたのに、目玉である伊調姉妹の辞退には協会も頭を抱えている。
 しかし、選手の側から考えるとやむを得ないかなとも思う、特に4年間ぎりぎりの減量を続けてきた伊調千春の緊張が切れてしまったことは理解できる。
 マスコミもメダリストの試合が報道できず残念だろうが、視点を変えて4年間頑張った選手の努力、信条、オリンピックが終わってからの脱力感、普通の年頃の娘としての生活などに視点を当てて、全てをオリンピックに賭けた、スポーツ選手の企画を是非お願いしたいものである。
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