世界の常識

 今回のアジア選手権オリンピック選考会を兼ねているから大変な大会だったそうだ。私は日本にいたので、福田会長や土方コーチからの電話で状況を理解したのだが各国駆け引きは大変なものだったという。
 韓国は大会開催国であり、一つでも多くオリンピック出場権を取りたいのは当然であり、自国に有利に事を運ぼうとするのはありえることである。従って、計量、抽選から各国が目を光らせ、いちいちクレームを付けていたという。
 試合になれば今度は判定に疑義が沸騰し、ビデオ判定に審判団は振り回され大変だった。今のルールはクリンチからのポイントの判定が難しく、強い者同士の判定になればなるほど意見が分かれる。いずれにしても負けた方に不満の残る判定が多いのは事実だ。
 こうした激しく各国の主張がぶつかりあう大会では、担当する第三国審判をいかに味方に付けるかが、国際審判員、コーチ陣の重要な仕事である。これは審判に有利に判定して貰うというのではなく、正当な判定をして貰うためである。今大会は何と言っても世界連盟の実力者、福田世界連盟副会長が睨みを利かせていたことが大きな力になった。ワンマン、マリオ審判長にとってもう福田会長は煙たい存在である。福田会長が抗議をしなかったら、松永、池松は負けていたかもしれないと私は思っている。
 世界には色々な民族がいる。何百年も他民族に制圧された民族は数え切れない。それぞれの民族によって宗教も正義も異なるし民族意識も強烈である。日本の正義だけが正しいとは言えないのが世界なのである。
 
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