株の取引について

 このところ株式ブームで儲かった人、損した人、悲喜こもごもである。私は四十年以上株の売買をしてきたが、トータルは大損である。一時的には大きく儲かり「ウハウハ」したことも何度かあったが、結局は損をしてしまった。しかし、損してもこうして大過なくいられるのは、株を現物買いしかしなかったからだろう。それも余分にあった資金で買っていたのだから、株価が下がっても上がるまで待つことができたのである。
 最近株をやる若い人たちは信用取引を用いる人が多いと聞く。それはインターネットで売買をするからだろうが、我々が株を始めた頃は信用取引などはプロ中のプロがやることで、素人は決して手を出してはならないと言われていた。最近は株取引を職業として生きてゆこうとする若者もかなりいると聞くが、株取引はそんなに甘いものではなく、三年続いたら大したものだと思う。とどのつまり無一文になったら人間としても再起不能であり、到底一般の仕事は勤まらないと思う。
 株で儲かったと言っても、儲かった株を売ってお金を手にして二度と株に手を出さないようになったとき、初めて儲かったのであり、儲かった金で株をまた買っている状態では、儲かったとは言えないと私は思っている。最近株で初めて儲かった人は、早く株を売ってマンションでも土地でも買って、この先十年は株をさわらないようにすれば、本当に株で儲かった人と言えるだろう。
 最近、株を始めたような人が本から得た知識で専門家のような話をし、自らも酔っているような場面によく出会う。危ない危ない生兵法は大けがの元ですよ。株はうまく売り買いすれば儲かりますよ、しかし損も必ずします。株売買歴四十年、結果大損をした私が皆様に警告を発します。
 
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