反日デモ
 
 中国の反日デモのさなか、私はニューヨークにいた。米国在住の日本人社会では、今回のデモは中国指導部の考えであり、日本の国連常任理事国参入反対のデモであると大変憤慨していた。勿論、米国主要新聞の論調もその様に書いてあると在米日本人は言っていた。更に、米国紙は中国はオリンピックを控え大きなリスクも負ったとも書いてあった。オリンピック大会は世界から集まるのは選手だけでなく、報道陣、観客、旅行者、テロリストなど様々な人達が世界中
から集まってくる。米国人やイスラエル人を狙ったテロリストも入国してくるだろう。宗教の問題もあり、騒ぎを起こすだけが目的の中国内反政府分子、台湾との関係など、中国は本当に大丈夫なのだろうか、とも書いている。
 私は日本レスリング協会の危機管理委員会の座長である。4月22日帰国後早々に福田会長、高田専務理事と話し合った。5月23日から開催される中国武漢で開催されるアジアジュニア選手権に選手を派遣する問題についてである。スポーツは国々の友好がまず第一、中国に選手を派遣することを前提に、最悪の事態を想定して対策を進めることとしたが、危機管理委員会の仕事、そもそもデモは危機なのかという話になり、結論は出ず、しばらく様子を見ることで会議を終えた。
 岩名全国少年少女レスリング連盟会長は三重県訪中使節団団長として鄭州市を訪問してきたが、何の問題もなく友好を深めたと23日帰国して電話があった。
 また、私の友人の中国人大学教授は日本をよく知る親日家であるが、やはり私の意見とはなかなか一致せず、日本の教科書はいくつもの中から学校が選ぶのですよ。中国の教科書は一つだけでしょ。チベットの抑圧は書いてありますか、天安門事件は書いてありますか、という私の問いかけには答えず、中国指導部は本質的に親日ですよ。靖国神社に総理が行くことが許せないのですと言うばかりで、両国関係の根の深い難しさを改めて認識した。
 中国指導部はデモが世界中に報道されて、あのような蛮行の正当性を主張できるはずもないが、デモの暴挙について率直に謝らない、やはり国内の配慮としか考えられない。反日、改革、反政府は一体だと言われている中国で、指導部がインターネットという手の付けられない反乱分子に、苦しんでいる様がかいま見られる。
 
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