二代目の弱さ
 
 西武鉄道の堤会長の身の引き方は素早いものだった。先代・康次郎氏だったらどうだっただろうかと考えてみた。おそらく、あんな簡単には身を引かなかっただろう。粘って粘って最後まで何か活路がないか、策を巡らしたただろうと思う。
 私も二代目である。事業ではかなりやったと思っているが、行き詰まった時に弱さが出てしまう。事を成す最後の勝負は粘り強さだと私は思っているが、諦めの良さが私の最大の欠点だと認識している。
 私の刎頸の友・福田富昭氏は幼少時に父が戦死し、小学生の頃からの苦労を乗り越えて大学に入り、世界チャンピオンにまでなった。福田氏には、のほほんと育った私には絶対にない、しぶとさ、ねばり強さがある。
 八田会長は育ちの良さでは一流であるが、本当に苦労をして日本のレスリング界を築き上げた。八田会長の絶対に諦めない粘り強さは超一流であった。二度目の参院戦に落選した時、次の東京知事選に美濃部知事に挑戦すると言ってきかなかった。私とスポーツ会館 の掘米氏は、「会長、絶対無理です」と言って、引き留めるのに大変苦労した。
  話は変わるが、問題の男「金正日」にも二代目の弱さと人の良さを私は感ずる。悪党ずらしているが、拉致問題を簡単に認めたあたり、二代目の人の良さと読みの甘さを感ずる、私以前の体制がやったこ とだと言い、拉致を認めて少しだけ拉致家族を日本に帰せば、日本人は感謝し経済支援もしてくれるだろう、と甘く考えていたのではないだろうか。今になって軍部の一部に「何故拉致を認めたのか、認め さえしなければこんな事にならなかったのに」と言う意見があると聞く。欧米人なら認めなかったかも知れない、アジア人特有の甘さか。
 我が家の三代目の息子には絶対に家業は継がせない、これが私の息子に対するせめてもの贈り物である。
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