私と友人の回文研究

 私の小学校からの友人秀次郎は、元金持ち、今貧乏人、ですが小説を書いたり、俳句を作ったり気楽な一人暮らしをしております。洒落た男でなかなかの男前なのでいまだに女にもてます。私とは気が向くと会って少年時代を過ごした新宿で鴨せいろを食べ、下手な碁を打って明るいうちに別れます。酒を飲むとお互い我が強いため仲違いとなります。秀次郎は女房とはお互い恨みっこ無しで別れ、子供も独立させたので、女子寮の管理人をしながら飄々と生きています。秀次郎は回文俳句の名手で時々作品を送ってきます。

秀次郎 作

蝉のどか留守に何する門の店

三重に咲く奇抜な椿草に笑み

灯籠も消え尽きつ駅朦朧と

清元をしがなき流し音も良き

替え歌儚ない田舎は田植えか



今泉雄策 作

御輿待つ飯には煮しめ妻仕込み
(作るのに半年かかりました)


以上俳句は上から読んで下から読んでも同じです。
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