白井金三郎先輩が亡くなられました
 
 私の高校、大学、のレスリング部の先輩白井金三郎さんが脳卒中で亡くなりました。65歳まだまだ 亡くなるには早い年齢です。白井さんは昭和30年東京の京北学園から中央大学に入学し黄金時代のレスリング部に入部した数少ない無名の選手でした。お坊ちゃん育ちで心の優しい白井さんは、とうてい中大レスリング部の練習には耐えられないだろうと思われたが、その可愛らしい風貌と優しい性格から先輩達からも金ちゃん、金ちゃん、と可愛がられ四年間を当時最強のレスリング部で過ごし、四年生の頃には学生界の57キロ級では一流の実力を備えていました。
 心底優しかった白井さんは怪我をしたり、先輩にしごかれている下級生を見ると傍によって大丈夫か頑張れよと声をかけておりました。とくに私は直系の後輩でしたので、私が絞られてへとへとになっていると、今泉、次やるぞ、と声を掛けてくれて、スパーリングは程々に技を教えてくれたりして、私を休ませてくれた有り難い先輩でした。大学卒業後は家業を継ぐ傍ら北区の地域活動に貢献し、町の世話役として敬愛され剣道をしたこともないのに北区の剣道協会の会長まで引き受けていました。高校、大学、のOB会には必ず出席し楽しい話し以外には加わらず、会が終われば、金足りたか、と幹事に声を掛け、なにがしかのお金をおいてゆく、本当に粋な下町の旦那でした。
 お通夜は台風の襲来の7月10日行われ、その人柄から多くの人達か゛お別れに参列しました。私は集まったレスリング関係者とも何となく早く分かれたい心境で、1人で赤羽駅まで大雨の中歩いてゆきましたが、涙が出て涙が出て身体かふるえるようでした。何でこんなに悲しいのかな、白井さんとは最近はあまり合っていないし、そんなに親しかったわけでもないし、残念だ、いい人だったぐらいの感情しかないと思うのに、祭壇の写真の優しい笑顔を見たとたん40数年前の思いが一気に彷彿し耐えられなくなってしまったのでしょう。
 本当に優しかったレスリング選手白井金三郎先輩、さようなら。
 
戻る