世界選手権総括

 広州の世界選手権に役員として参加し、全試合をつぶさに見てきました。

・グレコローマンスタイル
 総じて選手に勢いが無く、勝てる試合を簡単に落としてしまった。毎度言われている「あと一歩」が乗り越えられないのだから、それが実力なのだろう。松本、笹本、豊田は一流選手なのだが峠を越したかに見えた。若手の台頭が望まれる。

・フリースタイル 
 高塚は全力で攻めまくりよく三位を勝ち取った。松本真也は世界最強のクラスでの2勝は立派なものである。二人の学生が大いに気を吐いたが、反面期待された田岡、小島は全く精彩を欠き実力を出し切れなかった。15分〜20分の休憩で試合をしなければならない過酷な現在のルールでは、体力はもちろんだが、精神の集中をいかに持続させるかが最も重要になってきた。

・女子レスリング
全選手実によく頑張った。全選手強かった。あれだけ勝つと世界全部が敵になり、あまりの強さにFILA役員の間では冗談に、「来年から日本は出場停止だ」等と言われるほどだった。
 浜口は気の毒だった。負けた決勝戦の負傷は明らかなブルガリア選手の反則頭突きであり、浜口が欧米選手のような大きなゼスチャーで痛みを訴えたらおそらく相手選手は失格になっていたであろう。日本レスリング独特指導の「痛い顔をするな」「弱気になるな」のコーチの叱咤も時によりけりで、相手に明らかな反則があった場合は、大きいゼスチャーで抗議し、選手にはゆっくり休めと寝かせ、レフリーに対して故意の反則に強くアピールすべきだったろう。帰国後のチームドクター増島医師の検査では鼻骨骨折で全治一ヶ月とのこと、今後の事を考え(財)日本レスリング協会はFILA審判委員会に対し、診断書を添え故意の反則行為に抗議をすべきである。
 世界各国の女子レスリング選手及びコーチ陣は日本女子レスリングを目標に研究錬磨を続けてきたが、今回の大会ではその差は更に開いた感があり、世界はあらゆる手段で日本に挑んでくるだろう。今後はいかなる手段にも対応できる、方策と心構えが必要である。
 
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