鈴木啓三教授が育てた人々

 長く専修大学に奉職した鈴木啓三教授が大学を退官されました。監督鈴木先生、協会鈴木理事は皆が知っていますが、レスリング選手鈴木啓三を知っている人はもうあまりいないでしょう。鈴木先生は私が中央大学一年生の時、専修大学の四年生でした。鈴木選手はいつもポーカーフェースでいつでも何事もないような顔で闘っていた姿が印象的でした。中央大学、明治大学が圧倒的に強かった時代、専修大学からウェルター級で世界選手権の代表になったのですからその実力は一級品でした。
 しかし、鈴木先生のレスリング界に残された業績は卒業後専修大学に奉職しレスリング部の監督に就任してからでした。当時としては考えられなかった大学一部リーグ戦優勝を果たし、続々と名選手を育てました。ミュンヘンオリンピック52キロ級金メダル加藤喜代美、メキシコオリンピック63キロ金メダル金子正明、工藤章、阿部巨史等多くのオリンピック選手を育て、プロレスリング界にもミュンヘン五輪代表の長州力、ロス五輪代表の馳浩、バルセロナ五輪代表の中西学、他にも秋山、平沢らを送り出しました。さらに政界においても馳浩文部科学副大臣、松浪健四郎衆議院議員の愛弟子が現在自民党の若手リーダーとして活躍しています。
 日本レスリング協会にあっては40年間の長きにわり理事を務め、その温厚な人柄で紛糾した時もモメ事を収め、時には誰も手を付けなかった改革を進めるなどリーダーシップを発揮しました。近年は協会副会長として笹原正三会長、福田富昭会長と二代の協会体制を支え協会の発展に大きく寄与しました。
 先般のアテネオリンピックでは、選手団とは離れ、協会応援団を結成し鈴木先生をリーダーに、今泉雄策、澤内和興、清水守、大島大和、鎌田誠の不良老人グループで試合を観戦、観光をし、酒を飲んだ楽しい思い出が昨日のことのように思い出されます。北京オリンピックにも是非このメンバー一人も欠けずに行きたいものだと願っています。
 
戻る