世界選手権総括

 ハンガリーで開催された2005年レスリング世界選手権に副団長として参加してきた。結果はご存じの方も多いと思うが、私なりに今大会の総括をしてみたい。

 まず、男子の成績については、周りの期待を裏切りレスリング日本復活にはほど遠い成績であった。フリー、グレコの戦いをつぶさに見た私の感想を率直に書いてみたい。
 日本選手の中で、松永、笹本、松本の三選手は実に良く闘った。成績はメダルには届かなかったが、金メダルを獲得してもおかしくない戦いであった。
・松永共広(フリー55キロ)
 二回戦で事実上の決勝戦とも言えるキューバ選手に逆転勝ちをし、三回戦で強敵韓国染選手を破り、準決勝に勝ち上がりメダルは手にしたかに見えたが、優勝者ウズヘキスタンに一点差で敗れ、三位決定戦も力尽き、五位に終わった。三十分の間隔で試合があり、一日で五試合も闘う今の世界のレスリング選手権で勝つには、並はずれた体力と運が味方しなければ到底頂点には立てないだろう。運がなかったとしか言いようがない、私は実に良くやったと誉めてやりたい。
・笹本睦(グレコ60キロ)
 ロシアと韓国に勝った時は笹本もついに金メダルを取るかと喜んだのだが、4回戦でルーマニアに敗れて夢は消えた。指を怪我し新ルールのクラッチには致命的なハンデを背負い、笹本もまた運に見放された。是非、もう一度頂点を目指して欲しい。
・松本慎吾(グレコ84キロ)
 イラン、グルジアを破り、ウクライナを投げ飛ばし一ラウンド取ったときは、世界最強のクラスでのメダルが見えたのだが、八位に終わり残念な結果となった。
 この三選手についていえば実に良く闘った。力がなかったと言えばそれまでだが、私は堂々とした戦いぶりを誉めてやりたいと思っている。他の男子選手は現行の新ルールで勝つのは無理である。

 女子はどの選手も本当に強かった。優勝した坂本日登美、吉田、伊調、正田はいずれも圧倒的な勝利で当分世界の王座に君臨するだろう。坂本真喜子はまだ若いのだから更なる錬磨を期待する。
・浜口京子
 今回の大会は勝敗にこだわりすぎた、スターとなり何が何でも勝ちたかったのだろう。結果は二位だったが彼女にとって決して悪い大会ではなかった。北京の金メダルが見えた大会であった。
 新ルールは一部手直しがあっても基本的には変らない。女子のように強ければどんなルールでも勝てるのだから、男子もこの新ルールを十分研究しルールを味方にしなければ、北京オリンピックでの勝利はないであろう。
 
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