大澤茂樹選手は本物
 
 韓国・済州島で行われたアジアジュニア選手権に団長として行った私は、フリー60キロ級で優勝した大澤茂樹選手(山梨学院大)の試合を緊張しながらつぶさに見た。
 一回戦のイランとの大接戦を勝ち、ウズベキスタン、キルギス、インドと一つも気の抜けない強敵を撃破した試合ぶりは素晴らしいものだった。どの試合も接戦であったが、終わってみれば実に安定した計算された試合運びで自信に満ちたものだった。何より素晴らしかったのはどの相手にも全く臆することなく、先手先手と攻め堂々たる試合ぶりだった。まだ大学一年生だというのに久々の大物である。
 かつての名選手、赤石光生選手が大学デビューした時によく似ている。六十キロ級は井上謙二(自衛隊)をはじめ、高塚紀行(日大)、小島豪臣(日体大)などの強豪もおり、北京までのしのぎ合いは実に楽しみである。男子の試合で誰が勝つか、試合前からわくわくするような対戦があるのは久しぶりのことである。
 日本男子の実力は間違いなく向上しており、国内の激戦を勝ち抜いて代表になった選手が、世界選手権でメダルを取るのは間違いないだろう。そして悲願である北京オリンピック男子金メダルを果たしてくれると信じている。

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