独断で選んだ最優秀コーチ

 年の始めにアテネオリンピックを一区切りとして、我が国のレスリング指導者について私なりに評価してみた。オリンピックコーチは協会を代表して金メダルを目指したのチームの纏め役なので、業績は大変なものであるが、ここでは評価の対象にしない。
 一番はなんと言っても中京女子大の栄和人監督だろう。生活の全てを女子レスリングの強化に注ぎ、二つの金メダルと一つの銀メダルを獲得した功績は本当に素晴らしいものだった。(財)日本レスリング協会は最大級の評価をするべきだと私は考えている。
 無敵霞ヶ浦高校の大澤先生もジュニアの指導者としては抜きん出ている、圧倒的な強豪チームを毎年作り上げ、一流大学生とも五分に戦える超ド級高校生を次々に育てる指導力は他に例を見ない。日本レスリングへの貢献度は計り知れないものがある。これらの超高校生を受け入れて、大学指導者が更に磨きを掛ければ日本レスリングは万全なのだが、その後の成長にはいささか問題がありそうだ。大学に入っても高校の指導者との関わりを持つようなシステム、例えば「高校指導者の管理による協会主催ジュニア合宿」もレスリング協会として必要かも知れない。
 大学指導者では拓殖大学の西口茂樹コーチは出色である。グレコだけではなく、フリースタイルにおいても大学の強豪チームを作り上げた情熱と指導力には敬意を表する。校友会組織がしっかりとしている拓殖大学のことだから、更に西口コーチをもり立てて最強チームを作り上げる日も近いのではないだろうか。ここ数年の大学指導者にはなかった熱血指導者である。
 次の指導者も特筆しなければならない。伊調千春、井上謙二の両メダリストを育てた網野高校三村和人先生、吉田沙保里を育てた猛烈親父、吉田栄勝氏、伊調姉妹を幼児から育てた八戸の澤内和興氏、今年の全日本優勝者、男子フリー60キロの小島、女子坂本姉妹、三人もの日本チャンピオンを少年時代に育てた勝村靖夫氏、これらの指導者にも(財)レスリング協会は敬意を表し、いずれかの機会にレスリングについての考え方、指導者としての心構えなど拝聴すべきであろう。
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