アテネオリンピックで問題とされた判定についての検証
 
1.伊調千春とウライナの試合
 試合が延長に入った事はなんの問題もなかったと思う。延長戦は両者共3ポイントにいたらなかったため、クリンチとなり得点の多かった伊調が先にクリンチをする権利を有していたはずである。ところがレフリーはウクライナに先にクリンチを命じた。これは間違いであり、ジャッジのアピールでレフリーは中断し、伊調が先に組み直した。組み直した直後ウクライナは一本背追を掛けた為、組み直した場面が見えなかったことと、マットコントローラーがアピールのマーカーをマットに投げたままになっていた事が、不信の判定となった原因である。その後の延長戦は2ー2のまま推移し試合終了後警告ポイントの少なかったウクライナの勝ちとなった。
 この判定についは全くおかしな所はない。私の解釈ではレフリーの不手際はあったものの日本に特別不利な判定だったとは言えない。

2.浜口京子と中国との試合
 浜口が中国の横崩し攻撃を守るため、左手で相手の手首を握り続けた。これに対してレフリーは1点を中国選手に与え、更に浜口に対しパーテレポジションを命じた。この判定は間違っていなかったが、スコアラーが間違って中国の得点を浜口に入れた為、観衆は訳が分からなくなってしまった。その後、中国の横崩しが決まり2点をゲット、更に間違っていたポイントが修正されたため観衆は納得せず、アニマル浜口氏のオーバーなパフォーマンスにつながってしまったが、決して判定そのものはおかしなものではなかった。

3.笹本睦とブルガリアとの試合
 これは明らかな誤審である。レフリーはブルガリアが笹本の足に手を掛けたのを確認し、試合を中断し笹本に2点を与えた。これに対しチェアマンはビデオでの確認を指示した。マリオ審判長の裁定は笹本の足に手は掛からなかったとされ、ブルガリア2点ゲットから試合が再開された。しかし、ブルガリアの手が足に掛かっていたことは間違いなく、別方向から写された写真ではっきりと確認された、試合後、マリオ審判長は誤審を認めたが、試合が覆ることはなかった。笹本選手には実に気の毒な判定であり、金メダルも手の届くところにあったのに慰めの言葉もない。

4.井上謙二とイランの試合
 得点をリードして守りに徹する選手に対し、レフリーは注意をした後相手に1点を与える事が出来るというルールがある以上、厳しい判定ではあったがおかしな判定とは言えない。
 
戻る