アテネオリンピック総括 「男子」

 8月31日にアテネより帰国しました。
 日本選手団としては大勝利、レスリング選手団としてはまずまずの勝利といえよう。やっとレスリング日本も上向いてきた、それぞれの選手達は本当に良く戦った。

◆田南部力選手 全試合全力で戦い最高の出来であった。米国アバス選手との敗戦はやむを得ないところ、3位決定戦のギリシャ戦は地元の大応援団を向こうに回して、攻め抜いての圧勝、圧巻であった。

◆井上謙二選手 勝った試合も負けた試合も大接戦、見る方もハラハラドキドキ、日本選手には珍しく手足が長く、寝技の腕取りでほとんどの選手をひっくり返したのには驚いた。特に3位決定戦は延長の結果ウクライナに勝ち、大金星だ。

◆池松和彦選手 決勝トーナメントのカザフ戦、勝っていたのに一度のミスが勝敗を分けてしまった。残念、今なお悔いが残る。順調に行けば当然メダルは取れていたはず、本人が一番くやしいだろう、しかし5位入賞は立派である。北京のオリンピックも狙って欲しい。

◆小幡邦彦、横山秀和両選手とも良く戦った。入賞はしなかったが、決して悪い戦いぶりではなかった、共に大舞台で1勝をあげ立派なオリンピックの戦いであった。

◆笹本睦選手 ブルガリアのナザリアンはオリンピック3連勝を狙う世界最強の敵、後半追い上げてあと1ポイントと迫り、更に俵返技しで空中につり上げ大きく返さんとした瞬間、ナザリアンは笹本の足を手で払った、明らかに反則でありレフリーは反則を認め笹本に2点を与え試合を中断した。この段階では笹本の逆転である。しかし、チェアマンから待ったがかかり、ビデオ判定の結果、反則はなかったとした判定が下り、笹本の2点失点で3ー5から試合が再開され逆転のチャンスは奪われた。試合後の別方向からの写真で明らかな反則が確認され、審判長もそれを認めたが試合を覆すには至らなかった。笹本には全く気の毒な判定であり、みすみす金メダルを逸してしまった。
 国際試合ではよくある不運とはいえ、笹本の4年間にわたる努力が一瞬のミスジャッジで消えてしまった。私は間違いなく勝っていた笹本選手に特別賞を贈りたい気持ちである。

◆松本慎吾選手 七位入賞は最高の出来だと思う。初戦のスエーデン戦は巧く戦えば勝てる試合であったが、試合運びがいささか正直すぎた。世界の強者が集まるこのクラスでも、世界のトップクラスであることを証明したオリンピックであった。

◆豊田雅俊、永田克彦両選手、もうひと踏ん張り欲しかった。豊田は優勝したハンガリー選手に後半までリードしていただけに、初戦の敗戦は惜しまれる。天才肌の選手なので次のオリンピックまで頑張って欲しい。
 
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