女子ワールドカップで日本が負けた原因
 
 10月11日、12日、代々木体育館で行われた、世界女子レスリング団体戦で当然勝つと思われた日本が米国に敗れました。一ヶ月前の世界選手権で圧勝した日本女子が負けてしまいました。日本の選手は初戦から浮ついており、どこかで負けるかもしれないと思っておりましたが、悪い予想が当たってしまいました。日本の敗北の一番の原因は、勝つための試合の組み立てが出来ていないことです。受けに徹して待っている相手に対して、遠い距離からただがむしゃらにタックルする戦法では、少々実力が上回っていても、体力がある外人選手にはタックルはなかなか決まらないでしょう。一回、二回、と失敗するうちに体力は消耗し自分のタックルに自信がなくなり、不安げに入ったタックルが返されてしまい、後はただ焦って無駄な攻撃に終始して、攻めまくってはいても、ついに終了のゴングが鳴ってしまう。これが日本選手の負けパタンです。負けた選手はただ呆然として何がなんだか分からず、負けた事すら理解できずにいるのに、コーチは傍らでワーワー言っても駄目です。
 今回の敗戦は米国と日本のコーチの差だと私は思っております。日本コーチ陣は勝つためのレスリングの訓練と研究をもう一度練り直すべきです。米国女子コーチには八田忠朗氏が居ります。彼は日本のレスリングを熟知しており、日本に対応する練習をオリンピックまで徹底的にやってくるでしょう。相手にタックルされたところからの守りの練習、返しの練習、マットサイドの対応など、おそらく細切れの反復練習をしているのでしょう。
 日本のスパーリングを中心にした練習だけでは、なかなか勝てないところに来ております。各級ともオリンピックで対戦する外国選手の顔ぶれは分かってきました。日本選手の練習もそれぞれの外国選手の特長を分析し対応する時期に来ております。そう言う意味では今回の敗北は意味のある敗北だったかもしれません。
 
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