女子の格闘技を考える |
平成14年12月23日行われた、天皇杯全日本レスリング選手権は男性の競技であったレスリングが、その主役の座を女子に譲り渡した大会であった。報道陣のカメラの放列の中、浜口、吉田、山本等の女子スター選手の熱戦が繰り広げられ、今までになかった雰囲気の大会となった。 女性は格闘技などやらないもの。近代国家になってからこのようにして女性は育てられ、男性もそのように思ってきた。しかし女性が格闘技が嫌いかといえば観戦者も含めればかなり愛好者がおり、男性の格闘技ファンと比べても大差ないのではないだろうか。だいたい「女性が格闘技に向かない」論は何処から来たのだらうか。明治以後の女性教育の中で女性は慎ましやかに、しとやかにとして育てらたことから発しているのだろう。近年においても、日本では、女性が格闘技に対してのどれほど興味を持っているかのアンケートすらない。 最近のプロレス、プロボクシングの会場に行ってみると若い女性でいっぱいだ。K−1の試合場に集まる女性をリサーチするべきである。本来どの分野でも男性、女性の選別はいらないのではないか。女性同士で戦うのであるから、どんな競技でも問題は無いはずである。レスリングについて言えば、闘争心、向上心、耐久力、粘り強さ、どれをとっても男子に劣らない。むしろ、その直向きな練習態度は男子を上回っている。最近のデータでは、少子化の影響もあって、全ての中学体育クラブで部員が激減しているが、女子柔道だけは10.3%(スポーツ白書2002)の伸びを示している、これは明らかに田村亮子以降の女子柔道選手の活躍の影響と思えるが、非常に面白いデータである。 レスリング、柔道、空手、テコンドー、ラクピー、サッカー、ボクシングあらゆるスポーツの世界に女性が進出してきた、今後ますますその数は増えるであろう。しかし、日本の現状は、それに対応する施設と指導者がいない。女子スポーツを考えるとき、更衣室、シャワー、用具、ウェア、医事等の整備は欠くことが出来ない。全ての分野で女性が進出して、男性に互してスポーツを行っていく時代となり、文部科学省を始め体育協会、学校等はスポーツ組織再構築の中でこれらの対策を早急に考え無くてはならないであろう。 |