日本選手の悪癖
 
 昨年のフリー世界選手権、先日のアジア大会の二つの国際大会を見て色々感じたのですが、特に日本選手、とコーチの悪癖が日本選手敗退の一因ではないかと思う事がありますので、それについて書きます。
 それは、ほとんどの日本選手が試合中にもかかわらず、相手の乱暴な態度、或いは守りの姿勢、ゲットポイントの判定に対して、審判にクレームを付けたり、訴えたりすることです。また、コーチもその態度に対して指導するどころか、同じように抗議をするのです。私に言わせればまったく馬鹿げたことです。そんなことする選手が優勝した試しはありません。心底勝負に集中している選手にそんな暇はないはずです。笹原正三、渡辺長武、市口政光、上武洋二郎、高田裕司らの世界チャンピオンは、絶対にそんな態度はしませんでした。八田会長が生きていたらそんな選手は二度と海外に出すなと言ったでしょう。

 選手コーチ諸君、よく考えてみてください。国際大会の審判員は世界でも選りすぐられた、プライドの高い特級審判員ですよ。一選手やコーチにクレームを付けられて判定を変えると思いますか。文句を付けて有利な判定がもらえると思いますか。アピールはマイナスになってもプラスには絶対になりませんよ。どうしてこんな簡単なことが分からないのですか。国際大会の勝負は、ほんの僅かなことで決するのです。私もかつて、審判員をしたことがありますが、態度の悪い選手にはどうしても厳しい判定をしてしまった経験があります。レフリーの判定で勝てた試合を落とした例は枚挙にいとまがありません。レフリーに好印象を持ってもらえる試合ぶりをしなければ損です。勝つ為には全てを味方に付けなければ勝てません。日本選手は何時からこんな情けない選手になってしまったのでしょう。

 私は協会幹部ですがあえて言います。こんな悪癖を蔓延させてしまったのは、大学リーグ戦だと思っています。私は大学リーグ戦を見に行ても、観覧席の隅で見ることにしております。何となく試合場に下りて行きたくない雰囲気が大学リーグ戦にはあります。試合は学生の試合なのにクレームの連続で、選手、監督はスポーツマンとも思えない傍若無人な態度で抗議をします。しかし、それには原因があることも事実です。それは審判が未熟なことです。各大学から駆り出された審判員は、判定に対して怖い監督に怒鳴られて右往左往して、まったく自身の判定に自信をなくして判定を覆したり、躊躇したり、審判員の体をなしておりません。だがこれは無理のないことです。学生に審判をさせる大学連盟が悪いのです。学生を審判員として使うにしても キャプテンクラスならまだしも、試合に出ていないマネージャーが中心では、試合を仕切るのは無理です。こうしたことが日本代表選手の悪癖につながっているのです。

 全日本のコーチ陣もほとんどが大学の監督です。この様な態度に皆馴れきっているのです。大学連盟の皆さん、よく考えてください。こんな悪習が良いわけがないですよね。みっともないですよね。審判の心証を良くする訳が有りませんよね。リーグ戦で学生審判を使うのなら、学生審判を尊重して、絶対クレームを付けない申し合わせを監督会議ですべきです。
 
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