言葉で選手は強くなる
 
 私の高校時代中央大学の先輩に、「おまえはなかなか有望だ」と言われた一言で、遊び半分でレスリングをやっていた私は練習の虫になってしまいました。「おまえの片足タックルは早いね」と言われただけで、毎日毎日タックルのことばかりを考え、次の日の練習が待ち遠しい事もありました。強い先輩に、尊敬する先生に、誉められたことがどんなに選手にやる気を起こさすか、自信を付けさせるか、コーチの皆さん勿論ご存じのことですが、もう一度考えてみましょう。最近の高校の先生の中には試合中怒ってばかりいる先生も見かけます。負けた選手を怒る事などは言語道断、一番辛いのは負けた選手なのですから、もう少し選手を励まし、時にはおだてるぐらいでも良いのではないですか。
 私は言葉のコーチ学と言うものを考えています。心理学者、催眠術者、に参加していただいて、マニュアルを作り上げようと思っております。
 東京五輪に臨んだ時の八田会長は、一種の催眠術師でもあったと思います。常に選手に接して、君たちが金メダルを取れないはずがない。金メダルは必ず取れる。といつでも思いなさい。夢もメダルを取る夢を見なさい。いつもいつも言われているうちに、選手達は次第にメダルを取るのは当たり前と思って行きました。たた、言葉というのは人あってのことで、あくまでも選手に尊敬される指導者ということになるでしょう。
 現在は、金メダル五個取った時のレスリング協会より、組織は遙かに強大になり、資金も何倍にもなったのになぜ弱くなったか、もう一度考えてみたいものです。何かが間違っていることは確かなはずです。
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