ワンポイント レスリング
 
私は30年ほど前レスリングを始めたばかりの高校生5人を、2年間教えたことがある。全員を何とか強くしようとずいぶん苦労したが、5人の差がどんどんついてしまい、弱い子はだんだんやる気もなくなっていった。いくら激励しても、技を教えても、一度勝てないと思いこんだ子供達は、毎日同じ相手と練習をするのでどうにもその壁を破ることは出来ない。そこで私は練習方法を変えてみた、強い子には可哀想だが、君が一番強いからと言って中央に立たせ総掛かりで、一ポイントを取ったらおしまいという練習を始めた。3人目4人目ぐらいになると、強い子もだんだんばててきて、いつもなら問題にしない子に振り回され、ポイントを取られる場面もしばしば、弱い子もすっかり面白くなって、絶対かなわないと思っていた相手にタックルを決めて得意満面、私に先生昨日の夜考えてきた技がかかりました。といかにもうれしそうに話しかけてきました。中央に立つ選手も強いから立たされるのだというプライドもあり、この練習で更に強くなれると自覚していた。その後全員がかなりのレベルになってきたので、一対一のワンポイントの練習に切り替えたが此も非常に効果が出た。始めに1ポイントを取った方が勝ちとしてスパーリングをすると、弱い選手も必死に守り、今までにはなかった粘りを見せ、時として乾坤一擲先にポイントを取ったりする事あり、自信をつけるのと同時に全員がレスリングに対して前向きに練習をするようになった。1年半後の東京都国体予選で5人の内3人が東京代表となり大いに喜んだことが思い出される。部員の少ない部では是非ワンポイント レスリング練習も取り入れたらいかがでしょうか。

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