マンツーマン指導を考える |
ソルトレーク冬季オリンピックが始まった。里谷選手オリンピック連続メダル獲得、大したものだ。清水はすごい足をしている。どんな練習をしているかすぐ分かる。まだまだ日本のメダルは増えるであろう。ジャンプ、スケート、の選手を始め冬季の選手にはかつてレスリング選手にあった、直向きさと、どん欲さが感じられる。この選手達を見ていると、日本は豊かになり、若者達達にハングリー精神が無くなった、という言葉は当てはまらない。 最近、世界の頂点に立っている競技の選手とレスリングの選手を比較しても、練習の量・質には大した違いはない。大きく違う点は、世界を目指す意気込みである。最近の個人競技は、マラソンの高橋&小出コーチに代表されるように、専任コーチが付いているが、レスリングには今のところ、この様なコーチ制度はほとんどない。専任コーチはあらゆる情報を集め、分析し、練習方針を作り、選手と励まし合い、時には喧嘩しながら、二人で世界を目指すのである。この方法は目標を定め世界を目指す上で、特に選手にとって大きな精神的支えとなる。 レスリングにはマンツーマンでコーチが付くというケースは今までほとんど無かったが、今後、特定の選手についてやってみるべきである。「女子には必要かも知れないが男子には無用である」というのが今までの考えであった。しかし、男子も専任コーチを付け、ボクシングの様に一人の選手に多くのスタッフを付け、チャンピオンを目指す指導方法を考えてもよい時期に来ているのではないか。 大学リーグ戦で勝つチームを作ることと、世界チャンピオンを育てることとは、おのずから違うはずだ。強化委員には各一人の選手を預け、他のことは考えず、時にはエゴになってでも、ただ世界に通ずる選手を育てることに専念出来る環境を協会は提供すべきである。 高校の指導者にもマンツーマンによる指導を提案したい。レスリング部員の減少で、団体のチームがめなくなっている現状では、僅かな選手でも、それぞれの指導者の考えを反映させ、個性ある選手を育て、インターハイ、国体、の個人優勝を目指すのも高校指導者の一つの方向ではないだろうか。将来オリンピックに出場出来る様な選手を育てる指導は、協会強化委員に任せ、全国の情報を集め、対戦相手を研究し、その上で教え子の特長を生かし、少々変則でもインターハイで勝てる事を最大の目標とする高校生を育てる方法も有るのではないだろうか。今はマンツーマンのレスリングで「個性ある選手を育てる」指導を考える時期に来ていると思う。 |