状況に応じたに技の考え方

勝っている時の技、負けている時の技
 技を掛ける時は、相手の反撃を受ける危険が必ず伴います。それを承知で選手達は技を掛けるのですが、中には反撃が怖くて技をかけられずにいる選手もいます。危険を承知で選手達に自信を持って技を仕掛ける心構えを植え付ける、この辺がコーチの指導力です。しかしやみくもに技を掛けさせれば良いというものではありません。勝っているときは出来るだけ危険度の少ない技を、負けているときは、危険を冒しても逆転可能な技を日頃から練習の中で身につけることが重要です。

試合の前半に掛ける技
一般に日本のレスリング指導方針は、試合の立ち上がりは慎重に、確実に、タックルで一点をねらう試合運びがよしとされています。しかし本当にそうでしょうか。試合開始直後は、精神的にも集中しておらず、また、汗もかいていないので、大技がかかりやすいのです。かつての無敵のチャンピオン渡辺長武選手は、いつでも試合開始のゴングが鳴るや、いきなり首投げをかけたものです。そのままフォールという試合も沢山ありましたし、フォールが出来なくてもいきなりの攻撃に対戦相手は、態勢を立て直すことが出来ないまま試合が終わってしまうという試合が殆どでした。後半での汗をかいてからの大技は殆どかかる可能性はなく、むしろ疲労している相手には、連続的に仕掛ける正攻法のタックルの方が有効です。

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