八田一朗会長の威厳

 昭和20年、日本は第二次世界大戦に敗れ米国に占領されました。日本人は米国人に頭を垂れ、国の仕組み、教育制度、日本古来のものを否定され、米国指導のもと新たな国の再建に取りかかりました。日本人は総懺悔、米国を礼賛し全て肯定するような時代、八田会長は米国人に対し一歩も臆すことなく対等以上に相対し、主張すべきは主張し尊敬すら得ていました。
 八田会長は昭和26年に講和条約の発布前にレスリング選手団の米国遠征を実現させ、世間を驚かせました。八田会長は何故戦後の時代に米国人と対等につき合えたのでしょうか、全く不思議です。私が初めて米国に行ったのは昭和36年でした、その時は八田会長は同行しなかったのですが、何処へ行っても八田さん、八田さん、と各地の名士が八田会長に敬意を表し、その威光の大きさに驚いたものです。八田会長はどんな国の人にも親切でありましたが、どんな国の偉い人にも臆することはありませんでした。レスリングに対する情熱と、堂々とした自然の態度が相手に伝わり、その地位と名声を得ていったのでしょう。
 自分をはったりで実力以上に大きく見せても、所詮は底が割れてしまいます。人の威厳というものは不思議なものです、占領軍総司令官マッカーサーは昭和天皇に始めて会ったとき、その穏やかな威厳に敬意を表したそうであります。そしてこの国の再建には天皇が必要であると米国政府に伝えたと言われております。信念を持って生きた人々は立派な顔をし魅力的な顔をしております。
 
戻る